日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。
すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

後見人のせいで晩年を一緒に暮らせなかったご夫婦

ケアマネさんから「ご主人についた後見人のことで悩んでいる奥さまがいる」と連絡を頂きました。早速ご自宅に行くと奥様から、
「区役所に後見制度を使うよう言われた」
「区役所から良い人がいると行政書士(女性)を紹介された」
「その人が後見人になって夫を劣悪な施設に入れた」
「あの施設じゃかわいそうだから夫婦で同じホームに入りたい」
と言われました。「老人ホームを探し、後見人に退所と入所の手続きをしてもらいましょう」ということになりました。奥さまはすでに心当たりの施設があったようで翌日、夫婦で入所できるよう仮手続きをしてきました。その流れで、奥さまが後見人に連絡したところ後見人から次のファックスが来ました。
ご主人の預貯金は8700万円です。
「新しい施設の費用は月40万円、後見費用が月5万円、予備費が月5万円、合計毎月50万円になります」
「このペースで100歳まで生きるとお金が足りなくなるので、その施設の手続きは致しません」
「このことで今後連絡してこないでください」
驚くべき内容です。会って話そうと、奥さまとケアマネさんと筆者で後見人の事務所へ行きました。不在だったので置手紙をしてきたところ、後見人から依頼を受けたという弁護士から「連絡してこないでください。連絡してきたら警察を呼びます」という内容証明郵便が奥さま宛てに届きました。奥さまは「あなたは事情を知ってこんな内容を書いてよこしたのか。事情はこういうことなのですよ」と弁護士に送り返すとその後何の連絡も来ませんでした。
その間に当初の後見人は辞めていました。何たる無責任かと思いつつ、時間が流れたので、新しい弁護士後見人にご主人の退所と二人で入所する手続きをするよう求めたところ、「就任したばかりで事情がよくわからない。せかせないでください。なぜそんなに急ぐのですか」というファックスがきました。
その直後、ご主人は、施設内のコロナ感染で亡くなってしまいました。
利己的な後見人のせいで、高校時代から一緒だった不府が最期を共に暮らせなかった現実は尋常ではありません。
「なぜ急ぐのか!私たちには時間がないのです」と奥さまは新しい後見人に手紙を送っていますが、残念ながらその通りの結果となってしまいました。
「二人とも、急速に、気力、体力が衰えています」
「一緒の暮らしが遠のくたびに落胆」
「晩年少しでも快適に過ごすための自己資金の利用」
と当然の心情が書き出されています。
この気持ちを不当に踏みにじった行政書士後見人及び弁護士後見人よ、お二人に時間を返せ!

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

空き家対策と称して狙われる独居高齢者の不動産

「近所のおばさんの姿が見えなくなった」と電話がありました。話を聞くと、「姿を消したのは大正14年生まれのMさん。Mさんは都内一等地の戸建てに独居、区の人に聞いたら後見人がついたようだ」、わかっているのはこれだけでした。
いろいろ工夫をしてMさんの後見登記(いつ、だれが、誰の後見人になったか等がわかる資料)を調べたところ、Mさんの居場所がわかったので相談者と行ってみました。そこは老人ホームで、突如現れた我々に職員はびっくりしていましたが、事情を話したところ通してくれて、お友達と会えたMさんは大喜び、矢継ぎ早に次のことを言い出しました。
「区役所の人に言われてアパートに住んでいた」
「区役所の人に、「後見人をつけます。お年寄りお一人の方は皆さんそうしていますし、そうしないといけないんです」と言われた」
「後見人の手配でここに住むようになった」
「家に帰りたいけどここから出られそうにない」
「私の家はどうなっているのかを見てきてほしい」
Mさんに会う前にご自宅を見てきましたが、すでに売りの看板が出ており、その写真を撮りましたがMさんにはとても見せられませんでした。
この事案は、いわゆる「空き家対策便乗後見」です。空き家対策と称して現に住んでいる人を追い出し、後見人をつけ、施設に入れ、家を売り飛ばすという暴挙がここ数年まかり通っています。司法書士や不動産関係者もこれに加担しています。
新しい家を建てることで家が売れ、不動産登記の仕事も発生するからです。
空き家対策後見は、比較的地価の高いところや都心のベットタウンエリアで展開されることが多く、自治体に頼まれ不当に悪い診断書を書く医者もいます。
自治体が絡む案件の場合、裁判所は被後見人となる本人と面接を省くことが多いので、自治体と裁判所によりウソの後見が創りあげられてしまうのです。
実家の親、知り合いの親、近所の一人暮らしの高齢者などが大丈夫か至急確認してみてください。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。
すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
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「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

自分の家で暮らすという当たり前のことを妨害された高齢女性

「母のことで」と始まる相談を受けました。その方のお母さんは、20部屋のマンションのオーナーさんです。
同じマンションに住んでいる息子さんが定年退職したことから、息子さんがマンション管理をすることになったようですが、嫁いだお姉さんがそれをよしとしませんでした。ウソの理由でお母さんを連れ出し、そのまま遠くの施設に入れました。そしてお母さんに補助人をつける手続きをとり、知らない弁護士がお母さんの補助人になりました。
数か月後、お母さんの居場所がわかったので会いに行くと、「面会できません」と施設に断られました。それが半年ほど続いたころ「後見の杜」に相談が来たのです。現場主義・本人主義の筆者は、お母さんの気持ちを聞こうと一緒に行きましたが、「病院に行っていない」とのことで会うことができませんでした。
施設職員の態度や物言いが怪しかったので、作戦を立て直し、2回目に行ったときはお母さんと息子さんの再会を果たすことができました。息子さんを見るなり両手を広げる87歳のお母さんはとても嬉しそうで、ロビーで少し話すや、「今すぐ家に帰りたいとおっしゃり、息子さんの車で帰宅しました。」施設からの連絡を受けた補助人とお姉さんが警察を呼んだようで、警察がマンションに来ましたが、自分の家に帰っただけなので、すぐに警察は撤退しました。後日、施設へ行き介護記録を見ると、補助人弁護士が、「長男が来ても会わせないこと」、「長男が会いに来たら、体調が悪い、寝ている、風呂に入っている、病院へ行ったなどと言えばよい」、「万が一、話すことになったら施設の職員が必ず同席、マンションの話になったら面会終了」と施設に指示していたことがわかりました。
その補助人はマンション管理に不慣れだったようで、格安の管理会社に委託しました。おかげで、手入れの良さで好評だったマンションの、前庭は草ぼうぼう、1階のエントランスフロアの電気はついたり消えたりとお化け屋敷のようになってしまいました。
部屋を借りている人からエアコンの修繕依頼があっても対応が遅く、長年転出などなかったのに3家族が「とても残念だけど」と出て行ってしまいました。
補助人のせいで家賃収入が減ってしまったのです。
自分の不出来をオーナーに知られたくがないための「会わせない後見」、そのために施設に迷惑をかけた補助人弁護士の陰湿性に壁易します。救いだったのは、老人ホームから脱出できたお母さんが自分の部屋で晩年を暮らすことができたことで、「それだけは本当に良かった」とお母さんと長男家族が喜んでくれたことです。子供同士の軋轢があるとはいえ、自分の家で暮らすという当たり前が、悪質な補助人弁護士により妨害されたのです。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。
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高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

東日本大震災でご自宅を失った親子を待っていた悲劇

震災に遭い、高齢のお母さんは群馬県内の施設に入所し、50代の娘さんは都営住宅で暮らすようになりました。
3年を経て東京電力から出た賠償金で、お孫さん夫婦が住む都内の近くに親子二人で暮らせる小さな家を購入し、再び一緒に住むことを何よりも楽しみにしていました。
お母さんの名義で買った家の仮登記を本登記に移すにあたり、不動産屋が連れてきた司法書士が、「お母さんに後見人をつけないと本登記できない」と言い出しました。仕方なく娘さんが後見人をつける手続きをしたところ、弁護士がお母さんの後見人になりました。
その後見人により登記が完了しましたが、ここまで半年近い時間がかかっていました。いよいよ一緒に住める段で再び問題が発生します。「都内に住むより今の施設にいた方が安いので引っ越しは認めない」と後見人が言い出したのです。
私は、群馬県の施設で行われた後見人、娘さん、施設長の退所会合に同席しており、後見人が「来週には都内の介護事業所と話をする」と言っていたのに急になんだ?と思いました。
後見人は「裁判所も、施設に入ればいい、東京に行く必要はないと言っている」と娘さんにメールしてきましたが、そんなことを裁判所が言うはずもありません。誰を後見人にするかは裁判所が決めますが、何をどうするかは後見人個人の裁量だからです。
箸の上げ下げまで裁判所が関わるならそれは国家による後見となり、後見人は単なるアシスタントになってしまいます。
後見人の話が嘘であることを確認するため、娘さんと裁判所に行き、後見人からのメールを見せながら「こんなこと言ったんですか」と聞くと、「行ってないし、言う立場にもない」と書記官が回答しました。「やはり」ということで後見人の事務所へ向かう道すがら娘さんは「後見人とここ3週間連絡が取れない。電話してもいつもいない。事務の人に折り返しを頼んでも折り返しがない」と言っていました。事務所へ着きました。娘さんと話したくないのか、弁護士はすぐに警察を呼びました。
確かパトカーが4台、刑事さん三人、お巡りさんは八人くらい来たと思いますが、事情を聴いた警察は呆れた様子ではあったものの、娘さんと後見人の話に立ち会ってくれて、結果的に、東京に行く方向で話がまとまりました。しかし、時すでにおそし、準備をしているうちにお母さんの容態が急変し、東京の我が家で一晩さえ寝ることなく亡くなってしまったのです。
本件のように「裁判所がそう言っている」と言う弁護士は少なくありません。
自分が困ると警察を呼び、また、施設などに家族が来たら警察を呼ぶよう指示する弁護士後見人もいるようです。しかし、呼ばれる警察も迷惑だと思います。
資料を見ると、「東京に引っ越しても後見人を続けたい、東京に行くときは新幹線を使いたい」と弁護士後見人は言っていますが、娘さんは、「後見人は東京の人になってもらいたい、」と弁護士後見人は言っていますが、娘さんは、「後見人は東京の人になってもらいたいと弁護士後見人は言っていますが、娘さんは、「後見人は東京の人になってもらいたい」、仮にあなたが後見人にままだとしても東京へは新幹線ではなく高崎線で往来すればよい」というやり取りがありました。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。
すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

逃げるように辞めていった後見人
職場で倒れたご主人の後見人の司法書士から、こんなことを言われたという苦情が寄せられました。
「なぜ貯金が少ない? 普通は1年で百万円は貯めるものだ」
「生命保険は意味がないから解約しなさい」
「携帯電話も必要ないから解約するように」
「奥さまは車の運転をしないように、事故を起こすと保険料が上がるので」
「甘いものをご主人が食べたいと言っても無視しなさい」
「奥さまは雑誌や美容院を控えるように、いずれもご主人のお金なので」
「ご主人の介護のために同居しているという娘夫婦は出て行ってもらってください」
「ご主人に意思がないから一生離婚できません」
「温泉旅行に行くと体調が良くなるというならそういう診断書を医者からもらってきてください、それがあればご主人の旅費だけは出します」
「ご自宅のトイレ、ご主人は使わないから改修費用は出しません」
「支払ったという香典の領収証があれば清算します。領収証がないなら払えません」
「地震で倒壊した墓を修理する必要なんてあるのですか?」
長年ご主人に連れ添った奥さまにポッと出の後見人が言うことでしょうか?
奥さまは今も傷つき続けています。
奥さまに懲戒請求された司法書士は、逃げるように後見人を辞めたものの、地域で成年後見に関する講座の講師をしているようです。このような人物が後見制度の何を教えるのでしょうか。「被後見人の配偶者を怒らせる方法」なら得意かもしれませんが、そんな内容は後見講座のカリキュラムにないし不安です。
成年後見制度に関する講座を主張する自治体や社会福祉協議会は、講師を選ぶにあたり、どのような実務をしているのか、苦情や懲戒請求を受けていないか等について調べないと講座を受講する住民から苦情を受けることになるかもしれません。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

「寝たきりになった姿を後見人に見られる妻が不憫だよ」

奥さまが脳梗塞で倒れ、寝たきりになってしまいました。ご主人が後見人になってもよさそうな案件ですが、弁護士が理事長を務めるNPO法人が後見人となり、年間50万円程度の後見報酬を取り続けています。
奥さまは、55年間連れ添ったご主人がお見舞いに行っても目をうっすら開けるかどうかで起き上がることなどまったくできません。ご主人は、
「後見人が、月2回、妻を見にくるけど何の意味もないよね」
「知らない人に見られるあいつも可哀そうだよ」
「お金が欲しくて、仕事をしていますアピールとしか思えない」
「後見人っていったってうちの場合やることがないんだよ」
「施設への支払いなら俺でもできる」
「医者とだって俺が話をしている」
「施設に言われて後見なんか使って損しちゃったよ」と寂しそうにこぼします。
「盆暮れに菓子折り持ってくるけど、それだって、もとをただせばあいつの金だろ。つまりうちの金、そんなもん要らないんだよ」とも言っていたようです。
そもそも、この事案において後見人をつける必要は全くありませんでした。後見人をつけなくても施設にすでに入っていたわけだし、後見人でないとできないことは何一つないからです。
にもかかわらず、無駄な訪問、無駄な付け届け、無駄な年間50万円、ご主人のやるせなさに共感しない人はいないでしょう。ご主人が奥さまの見舞いに行ってもお金はもらえず交通費も自腹です。これに対して後見人は、月2回、すなわち念24回の訪問で50万円もらえます。単純計算して1回の訪問で2万円、それとは別に奥さまの口座から交通費を引き出しているのです。
本件のような無用な後見はそこかしこに見受けられます。その多くが、地域包括支援センターなどに「後見人をつけないといけないと言われた」という入口のミスリード(誤誘導)がほとんどです。他の手段があるにもかかわらず、成年後見制度しかないかのように勧めた人の責任は軽くありません。
奥さまの症状は回復しないので後見を取り消すことはできません。考えられる方法は、ご主人が後見人となり、NPO法人が後見人を辞めることですが、そうするかどうかは家庭裁判所の裁量です。そして、奥さまの財産が1000万円以上ある本件においては後見人の変更を裁判所はしてくれないでしょう。
法律を変えるか、運用を変えるか、後見制度を使わないかの実例です。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

「ご主人と離婚してほしい」と奥さまに迫った後見人

病院の看護師さんから、「患者さんの後見人が奥さまに酷いことを言うんです」と電話がありました。聞けば、その弁護士後見人は奥様に次のことを言ったそうです。

「家を売ってご主人の医療費に充てるから出て行ってほしい」

「家はご主人名義で自分の管理下にあるから自分の権限で処分できる」

「奥さんは働けばいい」

「再来年社会人になる息子さんに食べさせてもらうのもよい」

「結婚していると費用がかさむからできれば離婚してほしい」

確かに酷い言動です。交通事故で大変な目に遭い、毎日看病している奥さまに対してこの侮辱です。奥さまは、「交通事故で夫を半分殺され、後見でもう半分殺されたよう」と悲痛に仰っていました。筆者は次のアドバイスをしました。

「家を売るかどうかは裁判所の判断だろうから「売りたくない」と裁判所に行ってください」

「離婚についてとやかく言う権利は成年後見制度上ありません。あるまじき発言なので弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求するのもありです」
「自分を後見人に追加してほしいと裁判所に申し立てることで、奥さまが後見人になれるかも知れません。すると、弁護士は後見人を辞めるかも知れません」

その後、後見人の言動は収まったようですが、奥さまと看護師さんの怒りは消えませんでした。

後見人には、被後見人の気持ちを尊敬して仕事をするという身上配慮義務が課されますが、この後見人の言動が、ご主人の気持ちを代弁しているはずがありません。この時点で、この後見人は、民法858条に定められた身上配慮義務に違反した不法行為をしていることになります。ましてや、「出て行け、働け、離婚しろ」ですから、根に持たれるのも当然でしょう。後見人としての適格性がないのだから辞任すべきなのですが、家庭裁判所からせっかくもらった楽に稼げる仕事なので手放す後見人はあまりいません。

そもそも後見をやっている弁護士や司法書士は通常の業務で稼げていないということを耳にします。一度関わったら最後まで吸い付く「ヒル」のようだと揶揄する人もいます。
本件に限らず、病院や施設関係者から、後見人の言動がおかしいという相談をしばしば受けます。多いのは、被後見人に会いに来ないわりに被後見人の状況を知りたがり電話が長い、介護や医療の会合に出てこない、支払いが遅れる、家族とのコミュニケーションが取れていない、二言目には「他の施設や病院に移ってもいいんですよ」と足元を見る、などです。
患者さんや入居者の後見人の言動がおかしいと思ったら「後見の杜(筆者)」までご一報ください。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

株の処分と交換のために監督人になりたがる後見人

現役時代に一生懸命働いた奥さまは株を持っています。株の配当は年間80万円、奥さまの年金の手取りは年131万円です。合計211万円で、奥さまの後見人となっているご主人は、認知症になった奥さまのグループホームの費用や薬代を払ってきました。

奥さまには弁護士の後見人もついています。いわゆる複数後見です。その弁護士後見人は、「奥さまの株を処分して現金にしないと監督人がついてしまう」と言い出しました。ご主人は、「株なら80万円の配当があるので銀行に預けたら1万5千円の利息しか付かない。不経済だから株は現金にしないし、お金がかかる監督人も必要ない」と反論しました。
すると弁護士後見人は、「株を売らないで済むよう家庭裁判所を説得してみます。その代わり私が後見人を辞めて監督人になることに合意していただけますか。監督人の費用は年24万円くらいなので株を処分するよりお得です」と提案してきたそうです。
こんな取引があるでしょうか。そもそも、株を処分しなければ監督人がつくという法律などありません。後見人が複数いる場合、報酬は按分されます。後見報酬をご主人と分けるより、監督人になって楽に同額以上の報酬をもらいたいという弁護士後見人の魂胆が見え見えです。 一般的に、後見人による被後見人の株の運用はご法度のような雰囲気がありますが、被後見人の株を運用している後見人はいます。
本当に運用がダメならそのようなことはないはずで、後見人による株の運用を禁止する法律がないことを物語ります。
にもかかわらず、運用下手な後見人の能力に合わせ、責任を持って注意を払う善管注意義務という思想を誤用し、株の運用をしてはいけない雰囲気が作られているだけなのです。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

症状が悪くても医療を受けさせない後見人

認知症の奥さまがいます。若かりしころ、奥さまに苦労を掛けたご主人は、認知症になった奥さまの症状を少しでも改善したい一心で病院を訪ね回りました。

幸い、血管を拡張する方法で症状を改善することで高名な先生に出会い、奥さまの症状は改善していきました。
ところが、奥さまの後見人になった弁護士はその治療を妨害します。理由は「今、診てもらっている精神科医がその治療の効果はないというから」というものです。「奥さんに会うと治療の話をするのであなたを奥さんに会わせない」という面会妨害も始まりました。

そして、入院先の精神病院から奥さまをどこかに隠してしまったのです。
「この病院に妻がいる」とご主人に言われ一緒に行ったところ、「コロナだから今日は会えません。ズーム面会の予約を取るので少しお待ちください」と30分ほどロビーで待たされた挙句、「実はここにはいません。どこへ行ったかも教えられません」と病院のソーシャルワーカーが言い出したのです。
「最初から言ってほしい」という感じですが、事案の筋の悪さを直感しました。
その足で、ご主人と一緒に家庭裁判所に行きました。担当の書記官は、「後見人と話してください」と言うだけでしたが、ご主人は、何回も後見人に連絡しておりその都度、「家庭裁判所と話せ」と言われてばかりで話にならず、奥さまが消えてしまったのです。

書記官に事情を話したところ、ご主人寄りの態度になりましたが、書記官が理解してくれただけでは現状は打開できないので、ご主人は、「医療を受けさせない」、「居場所を教えない」、「家族との面会妨害」の3つを理由に、その場で後見人の解任請求を出しました。

3か月ほど経ちようやく家庭裁判所は、「合わせないのは問題かもしれないが医療を受けさせないのは精神科医がそう言っているとのことだから問題ない」としてその後見人を解任しませんでした。
認知症の専門家=精神科医という短絡的な考えしか持たない弁護士や裁判官には困ったものです。「治療の意味がない」と言ったという精神科医を訪ねるとやはり、「一般論として言っただけです。私はその治療方法の専門家ではありません」とのことでした。

この発言をもとに、後見人が自分に都合よく情報を操作し、それにより家庭裁判所が解任しないという誤った判断をしてしまったとして、ご主人は、後見人の解任をやり直すべく東京高等裁判所に即時抗告していますが、3か月以上経った今も結果が出ておらず、夫婦が合うことや医療を受けることができていないのです。

医療を受けさせない後見人を指導さえできない家庭裁判所後見係の仕事ぶりは異常と言わざるを得ません。

日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

おせちキャンセルと公正証書遺言無効裁判を起こした弁護士後見人

獣医としてある県の専門職員を勤め上げた男性がいました。
80歳を過ぎたころから認知症になり、それなりの財産があったせいか、奥さまと娘さん二人を差し置き見ず知らずの弁護士がその方の後見人になりました。
後見人は、お父さんと同居する長女に、「お父さんの生活費は立て替えてください。領収証を頂ければ生産します」と言いました。長女は、お父さんのおむつ代、薬代、その他の領収証は自分の買い物と別にして、後見人に提出しました。最初の月は精算してくれましたが、2か月目から清算が遅くなり、数か月後には請求しても精算がなくなりました。

並行して弁護士後見人の職務怠慢が露呈します。後見人はお父さんが利用しているデイサービスの費用を払っていませんでした。おかげで施設から長女に電話がかかってくる始末です。後見人は、お父さんの区民税も払っておらず、区役所から「差し押さえ事前通知書」が自宅に郵送されてきたのです。
たまりかねた長女は、「きちんと仕事をしてください!」と後見人に連絡したところ、謝るどころか逆切れ行為が始まりました。後見人弁護士は、お父さんが頼んだおせち料理を勝手にキャンセルしました。お店から電話があって事情を知った親子は絶句し、「後見人がつくとおせちも食べられないのか」とお父さんは著者の前で肩を落としました。

後見人は、「お父さんを施設に入れる」と言ってきました。親子が施設入所を断ったところ、「施設に入るまで生活費は払わない」と連絡をよこしそれを実行し続けました。さらに、後見が始まる前にお父さんが長女あてに書いた公正証書遺言は、「すでに認知症が入っていたのだから無効」という裁判も起こしてきました。お父さんの後見人が娘を相手に起こした裁判です。お父さんの代理人(後見人)として娘を訴えたので、原告はお父さん、被告は娘さんとなり、お父さんが娘を訴えた形になります。お父さんが娘を訴える形、お父さんが自らの遺言を否定することとなり、「なんでそんなことをするんだ!」とお父さんは悲しくも怒っていました。
自分の不出来をしてきされて逆上し、後見人としての権利を濫用し、被後見人を悲しませ続けたとんでもない後見人です。お父さんは亡くなり後見は終わりましたが、このような人物が今でも誰かの後見人をしていると思うと恐ろしい限りです。これで後見報酬まで取られるのだからたまったものではないでしょう。
「いずれは状況が良くなるだろうと思っていたけど、これが後見制度だったのね。良かれと思って使った私が馬鹿だったわ」と長女さんはお父さんのお葬式の後に寂しそうに仰っていました。ちなみに、公正証書遺言は裁判で無効となりました。公正証書にしておけば大丈夫というわけではないのです。これが実情です。