日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

おせちキャンセルと公正証書遺言無効裁判を起こした弁護士後見人

獣医としてある県の専門職員を勤め上げた男性がいました。
80歳を過ぎたころから認知症になり、それなりの財産があったせいか、奥さまと娘さん二人を差し置き見ず知らずの弁護士がその方の後見人になりました。
後見人は、お父さんと同居する長女に、「お父さんの生活費は立て替えてください。領収証を頂ければ生産します」と言いました。長女は、お父さんのおむつ代、薬代、その他の領収証は自分の買い物と別にして、後見人に提出しました。最初の月は精算してくれましたが、2か月目から清算が遅くなり、数か月後には請求しても精算がなくなりました。

並行して弁護士後見人の職務怠慢が露呈します。後見人はお父さんが利用しているデイサービスの費用を払っていませんでした。おかげで施設から長女に電話がかかってくる始末です。後見人は、お父さんの区民税も払っておらず、区役所から「差し押さえ事前通知書」が自宅に郵送されてきたのです。
たまりかねた長女は、「きちんと仕事をしてください!」と後見人に連絡したところ、謝るどころか逆切れ行為が始まりました。後見人弁護士は、お父さんが頼んだおせち料理を勝手にキャンセルしました。お店から電話があって事情を知った親子は絶句し、「後見人がつくとおせちも食べられないのか」とお父さんは著者の前で肩を落としました。

後見人は、「お父さんを施設に入れる」と言ってきました。親子が施設入所を断ったところ、「施設に入るまで生活費は払わない」と連絡をよこしそれを実行し続けました。さらに、後見が始まる前にお父さんが長女あてに書いた公正証書遺言は、「すでに認知症が入っていたのだから無効」という裁判も起こしてきました。お父さんの後見人が娘を相手に起こした裁判です。お父さんの代理人(後見人)として娘を訴えたので、原告はお父さん、被告は娘さんとなり、お父さんが娘を訴えた形になります。お父さんが娘を訴える形、お父さんが自らの遺言を否定することとなり、「なんでそんなことをするんだ!」とお父さんは悲しくも怒っていました。
自分の不出来をしてきされて逆上し、後見人としての権利を濫用し、被後見人を悲しませ続けたとんでもない後見人です。お父さんは亡くなり後見は終わりましたが、このような人物が今でも誰かの後見人をしていると思うと恐ろしい限りです。これで後見報酬まで取られるのだからたまったものではないでしょう。
「いずれは状況が良くなるだろうと思っていたけど、これが後見制度だったのね。良かれと思って使った私が馬鹿だったわ」と長女さんはお父さんのお葬式の後に寂しそうに仰っていました。ちなみに、公正証書遺言は裁判で無効となりました。公正証書にしておけば大丈夫というわけではないのです。これが実情です。