日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

症状が悪くても医療を受けさせない後見人

認知症の奥さまがいます。若かりしころ、奥さまに苦労を掛けたご主人は、認知症になった奥さまの症状を少しでも改善したい一心で病院を訪ね回りました。

幸い、血管を拡張する方法で症状を改善することで高名な先生に出会い、奥さまの症状は改善していきました。
ところが、奥さまの後見人になった弁護士はその治療を妨害します。理由は「今、診てもらっている精神科医がその治療の効果はないというから」というものです。「奥さんに会うと治療の話をするのであなたを奥さんに会わせない」という面会妨害も始まりました。

そして、入院先の精神病院から奥さまをどこかに隠してしまったのです。
「この病院に妻がいる」とご主人に言われ一緒に行ったところ、「コロナだから今日は会えません。ズーム面会の予約を取るので少しお待ちください」と30分ほどロビーで待たされた挙句、「実はここにはいません。どこへ行ったかも教えられません」と病院のソーシャルワーカーが言い出したのです。
「最初から言ってほしい」という感じですが、事案の筋の悪さを直感しました。
その足で、ご主人と一緒に家庭裁判所に行きました。担当の書記官は、「後見人と話してください」と言うだけでしたが、ご主人は、何回も後見人に連絡しておりその都度、「家庭裁判所と話せ」と言われてばかりで話にならず、奥さまが消えてしまったのです。

書記官に事情を話したところ、ご主人寄りの態度になりましたが、書記官が理解してくれただけでは現状は打開できないので、ご主人は、「医療を受けさせない」、「居場所を教えない」、「家族との面会妨害」の3つを理由に、その場で後見人の解任請求を出しました。

3か月ほど経ちようやく家庭裁判所は、「合わせないのは問題かもしれないが医療を受けさせないのは精神科医がそう言っているとのことだから問題ない」としてその後見人を解任しませんでした。
認知症の専門家=精神科医という短絡的な考えしか持たない弁護士や裁判官には困ったものです。「治療の意味がない」と言ったという精神科医を訪ねるとやはり、「一般論として言っただけです。私はその治療方法の専門家ではありません」とのことでした。

この発言をもとに、後見人が自分に都合よく情報を操作し、それにより家庭裁判所が解任しないという誤った判断をしてしまったとして、ご主人は、後見人の解任をやり直すべく東京高等裁判所に即時抗告していますが、3か月以上経った今も結果が出ておらず、夫婦が合うことや医療を受けることができていないのです。

医療を受けさせない後見人を指導さえできない家庭裁判所後見係の仕事ぶりは異常と言わざるを得ません。

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