日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

「ご主人と離婚してほしい」と奥さまに迫った後見人

病院の看護師さんから、「患者さんの後見人が奥さまに酷いことを言うんです」と電話がありました。聞けば、その弁護士後見人は奥様に次のことを言ったそうです。

「家を売ってご主人の医療費に充てるから出て行ってほしい」

「家はご主人名義で自分の管理下にあるから自分の権限で処分できる」

「奥さんは働けばいい」

「再来年社会人になる息子さんに食べさせてもらうのもよい」

「結婚していると費用がかさむからできれば離婚してほしい」

確かに酷い言動です。交通事故で大変な目に遭い、毎日看病している奥さまに対してこの侮辱です。奥さまは、「交通事故で夫を半分殺され、後見でもう半分殺されたよう」と悲痛に仰っていました。筆者は次のアドバイスをしました。

「家を売るかどうかは裁判所の判断だろうから「売りたくない」と裁判所に行ってください」

「離婚についてとやかく言う権利は成年後見制度上ありません。あるまじき発言なので弁護士が所属する弁護士会に懲戒請求するのもありです」
「自分を後見人に追加してほしいと裁判所に申し立てることで、奥さまが後見人になれるかも知れません。すると、弁護士は後見人を辞めるかも知れません」

その後、後見人の言動は収まったようですが、奥さまと看護師さんの怒りは消えませんでした。

後見人には、被後見人の気持ちを尊敬して仕事をするという身上配慮義務が課されますが、この後見人の言動が、ご主人の気持ちを代弁しているはずがありません。この時点で、この後見人は、民法858条に定められた身上配慮義務に違反した不法行為をしていることになります。ましてや、「出て行け、働け、離婚しろ」ですから、根に持たれるのも当然でしょう。後見人としての適格性がないのだから辞任すべきなのですが、家庭裁判所からせっかくもらった楽に稼げる仕事なので手放す後見人はあまりいません。

そもそも後見をやっている弁護士や司法書士は通常の業務で稼げていないということを耳にします。一度関わったら最後まで吸い付く「ヒル」のようだと揶揄する人もいます。
本件に限らず、病院や施設関係者から、後見人の言動がおかしいという相談をしばしば受けます。多いのは、被後見人に会いに来ないわりに被後見人の状況を知りたがり電話が長い、介護や医療の会合に出てこない、支払いが遅れる、家族とのコミュニケーションが取れていない、二言目には「他の施設や病院に移ってもいいんですよ」と足元を見る、などです。
患者さんや入居者の後見人の言動がおかしいと思ったら「後見の杜(筆者)」までご一報ください。

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