日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

「寝たきりになった姿を後見人に見られる妻が不憫だよ」

奥さまが脳梗塞で倒れ、寝たきりになってしまいました。ご主人が後見人になってもよさそうな案件ですが、弁護士が理事長を務めるNPO法人が後見人となり、年間50万円程度の後見報酬を取り続けています。
奥さまは、55年間連れ添ったご主人がお見舞いに行っても目をうっすら開けるかどうかで起き上がることなどまったくできません。ご主人は、
「後見人が、月2回、妻を見にくるけど何の意味もないよね」
「知らない人に見られるあいつも可哀そうだよ」
「お金が欲しくて、仕事をしていますアピールとしか思えない」
「後見人っていったってうちの場合やることがないんだよ」
「施設への支払いなら俺でもできる」
「医者とだって俺が話をしている」
「施設に言われて後見なんか使って損しちゃったよ」と寂しそうにこぼします。
「盆暮れに菓子折り持ってくるけど、それだって、もとをただせばあいつの金だろ。つまりうちの金、そんなもん要らないんだよ」とも言っていたようです。
そもそも、この事案において後見人をつける必要は全くありませんでした。後見人をつけなくても施設にすでに入っていたわけだし、後見人でないとできないことは何一つないからです。
にもかかわらず、無駄な訪問、無駄な付け届け、無駄な年間50万円、ご主人のやるせなさに共感しない人はいないでしょう。ご主人が奥さまの見舞いに行ってもお金はもらえず交通費も自腹です。これに対して後見人は、月2回、すなわち念24回の訪問で50万円もらえます。単純計算して1回の訪問で2万円、それとは別に奥さまの口座から交通費を引き出しているのです。
本件のような無用な後見はそこかしこに見受けられます。その多くが、地域包括支援センターなどに「後見人をつけないといけないと言われた」という入口のミスリード(誤誘導)がほとんどです。他の手段があるにもかかわらず、成年後見制度しかないかのように勧めた人の責任は軽くありません。
奥さまの症状は回復しないので後見を取り消すことはできません。考えられる方法は、ご主人が後見人となり、NPO法人が後見人を辞めることですが、そうするかどうかは家庭裁判所の裁量です。そして、奥さまの財産が1000万円以上ある本件においては後見人の変更を裁判所はしてくれないでしょう。
法律を変えるか、運用を変えるか、後見制度を使わないかの実例です。

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