日本における高齢者後見トラブル

後見の社にご相談をいただき、その改善を支援した事案のなかから、高齢者についた後見人による理不尽なケースを紹介します。

すべて、本人や家族、場合によっては後見人に著者も会って確認した案件です。
高齢者と接することの多い地域包括支援センターの職印やケアマネジャーの皆様、これでも法定後見制度の利用を勧めますか。老親のお金のことでもめているご家族の皆様、これでも親に後見人をつけますか。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

空き家対策と称して狙われる独居高齢者の不動産

「近所のおばさんの姿が見えなくなった」と電話がありました。話を聞くと、「姿を消したのは大正14年生まれのMさん。Mさんは都内一等地の戸建てに独居、区の人に聞いたら後見人がついたようだ」、わかっているのはこれだけでした。
いろいろ工夫をしてMさんの後見登記(いつ、だれが、誰の後見人になったか等がわかる資料)を調べたところ、Mさんの居場所がわかったので相談者と行ってみました。そこは老人ホームで、突如現れた我々に職員はびっくりしていましたが、事情を話したところ通してくれて、お友達と会えたMさんは大喜び、矢継ぎ早に次のことを言い出しました。
「区役所の人に言われてアパートに住んでいた」
「区役所の人に、「後見人をつけます。お年寄りお一人の方は皆さんそうしていますし、そうしないといけないんです」と言われた」
「後見人の手配でここに住むようになった」
「家に帰りたいけどここから出られそうにない」
「私の家はどうなっているのかを見てきてほしい」
Mさんに会う前にご自宅を見てきましたが、すでに売りの看板が出ており、その写真を撮りましたがMさんにはとても見せられませんでした。
この事案は、いわゆる「空き家対策便乗後見」です。空き家対策と称して現に住んでいる人を追い出し、後見人をつけ、施設に入れ、家を売り飛ばすという暴挙がここ数年まかり通っています。司法書士や不動産関係者もこれに加担しています。
新しい家を建てることで家が売れ、不動産登記の仕事も発生するからです。
空き家対策後見は、比較的地価の高いところや都心のベットタウンエリアで展開されることが多く、自治体に頼まれ不当に悪い診断書を書く医者もいます。
自治体が絡む案件の場合、裁判所は被後見人となる本人と面接を省くことが多いので、自治体と裁判所によりウソの後見が創りあげられてしまうのです。
実家の親、知り合いの親、近所の一人暮らしの高齢者などが大丈夫か至急確認してみてください。

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