成年後見制度は、お金持ちの高齢者のものと捉える人が多いのですが、成年後見制度の利用者の4割は65歳以下で、知的障害、精神障害、高次脳機能障害などを持つ方々が利用しています。障害者の後見をめぐる惨状は高齢者後見トラブル以上に酷く、その実態を見て、「障害を持つ子を天国に一緒に連れていきたい」と嘆く親御さんもいます。しかし、それもできないわけで、障害者に関する後見の現実に向き合い、現状を打開していくしかありません。
以下、「何とかしてほしい」と後見の杜に寄せられた実際に起こった事例を紹介します。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社
後見制度が本当に必要かどうかを見極める力
仕事中に11m(3階の高さ)から転落した息子さんは高次脳機能障害になりました。労働災害の裁判のため成年後見制度を使うことになり、札幌の弁護士が後見人になりましたが、労災分野が苦手だったようで裁判が始まりませんでした。そのまま札幌にいても仕方ないので、実家の神奈川に戻ることになったそうです。後見人も神奈川の弁護士に替わりましたが、その弁護士も労災が苦手だったようで、結局、労災に強い弁護士に裁判をお願いしました。
数年が経ち、ようやく裁判は終了し、1億円近いそれなりの賠償金を獲得しましたが、労災の弁護士費用と後見の弁護士費用が二重にとられ、「こんなことなら、私が後見人になって、労災を弁護士に頼めば後見人費用はかからず済んだ」とお母さんは振り返りますがその通りです。やみくもに弁護士なら大丈夫と思い込んでいる裁判所の人選ミスで、無駄な費用を出費することもあるのです。
もっといえば、自分で労災に強い弁護士に裁判を依頼すれば済んだ可能性もあります。それで2千万円くらい後見人に取られた後見報酬を抑えることができたのです。後見制度が本当に必要かどうかを見極める力をどうか皆さん持ってください。
