日本における障害者後見トラブル

成年後見制度は、お金持ちの高齢者のものと捉える人が多いのですが、成年後見制度の利用者の4割は65歳以下で、知的障害、精神障害、高次脳機能障害などを持つ方々が利用しています。障害者の後見をめぐる惨状は高齢者後見トラブル以上に酷く、その実態を見て、「障害を持つ子を天国に一緒に連れていきたい」と嘆く親御さんもいます。しかし、それもできないわけで、障害者に関する後見の現実に向き合い、現状を打開していくしかありません。
以下、「何とかしてほしい」と後見の杜に寄せられた実際に起こった事例を紹介します。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

県立の施設から後見を使うよう言われたお母さんの苦悩

10代の時に交通事故で重傷を負い、県立の施設に30年ほど長年にわたって入所している方がいます。ある日、施設は入居者の親御さんや兄弟姉妹に対し、「成年後見制度を使っている方の契約更新はこれまで通り3年ごとですが、成年後見制度を使っていない人は1年ごとに契約を見直すことになりました」と連絡してきました。「急になぜ?」と思ったお母さんが施設に照会すると、成年後見制度利用促進法を受けた県の方針でこうなりましたとのことだったようです。施設の回答はその通りで、このように後見業界はあの手この手で後見の利用を増やそうと躍起になっているのが実情です。
仕方なく、後見制度の手続きを取り、お母さんが後見人になりました。
数か月後、家庭裁判所から、「監督人をつけます」という通知が来ました。このタイミングで後見の杜に連絡を頂き、お母さんと本人のお姉さんと会って話をしたところ、お母さんから「県の方針は息子のためにならない。どうして、国は息子のためにならないことばかりするのですか」と嘆きました。「弁護士や司法書士に仕事を回したいためだと思います」と言ったところ、「そうでしょう、私も家族もみんなそう思っているんです」と仰っていました。
その後、お姉さんを後見人に追加しましたが、それでも監督人がつきました。
呼ばれたお母さんとお姉さんは家庭裁判所に出向き「監督人をつけてもしてもらうことはないのだから、監督人から費用を請求されても絶対に支払いません」と裁判官と書記官に強く言ってきたようです。
お姉さんは呼び出し面談のために仕事を休んでおり、家庭裁判所がいかに無駄で迷惑な監督人の選任を強行しているかを物語る事案といえます。
お姉さんは、現在も家庭裁判所と闘っています。

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