後見トラブル泣き寝入り、6つの後見対策

これまで紹介した高齢者および障害者の後見トラブルは、すべて法定後見の実話です。
後見人になるのに適当な家族がいるにも関わらず、被後見人の財産が1000万円程度以上あることなどを理由に、家庭裁判所から後見人として弁護士や司法書士を送られるのです。
後見人が被後見人のお金を使い込む横領は刑事事件として警察が捕まえてくれたり、返金を求める民事裁判ができますが、紹介したトラブルは違法性や損害の立証が難しく、ほとんどの場合泣き寝入りとなります。家庭裁判所に文句を言っても「後見人と話してください」で終わり、弁護士に相談しても「後見制度はそういうもの」と一蹴されます。
しかし、そんなことで本当に良いのでしょうか。成年後見制度を使っていようがいまいが、良識のある人々により、スイスの国民投票やアメリカのブリトニー解放運動が日本でも起きるのは自然でしょう。
2021年6月、“後見制度と家族の会”が発足しました。被後見人やその家族が集い、おかしいと思うことを伝え、わからないことを学びあうプラットフォームとして今後の活動が期待されます。
ここでは、成年後見制度を使って現実に困っている人に対し、誰もができる悪徳後見対策を6つ紹介します。参考にして頂き、積極的に現状を打開してください。
「成年後見制度の落とし穴」著者 宮内康二 発行元 株式会社青志社

2 後見人を追加する作戦

「こんな人に家族の後見人を任せておけない」と思う場合、「私も後見人にしてください」あるいは「この人を後見人に追加してください」と申し立てる手続きがあります。
この申し立てを受けた家庭裁判所は、その後見人候補者を追加するかしないかを決めなければいけません。面接を経て追加が認められれば、後見人は二人になります。弁護士だけだったところに親族が追加される場合が多いですが、それにより、弁護士後見人と親族後見人が同じ権限を持つことになる場合もありますし、どちらかが財産管理を担当し、どちらかが医療や介護の手配などを担当するなど役割が分かれる場合もありますが、それは家庭裁判所が決めます。後見人の追加の申し立てがあると、それまでの弁護士や司法書士後見人が辞めてしまうこともあります。
世界遺産で有名な富岡製紙工場がある群馬県富岡市は、市民向けの後見パンフレットに「後見の取り消し」や「後見人の追加」について紹介しています。
現存する制度を包み隠さず情報提供するという点で、多くの自治体にとって好例といえるでしょう。こんな良心的な自治体も存在しているのは、心強い限りです。